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たちばなゆうとのブログ

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月の質量は地球の何%なの?と聞かれて答えられますか?

📚 日記
2022年10月13日

以前「月の質量は地球の何%だと思う?」と突然振られて、すぐに答えを出すことができませんでした。

結局、月の半径だけ教えてもらって、数分計算する時間をもらってそこそこ近い回答ができたのですが、そりゃ半径聞いたらね。。という感じですよね。

答えは 1.234568% でした。(覚えやすい!)

あのときどうすればスマートに答えられたのかについて考えたいと思います。

以下、厳密な答えを求めるのではなく、日常の雑談レベルの推測に過ぎないことにご注意ください。(なので「およそ」、「約」という接頭辞は省き、有効数字とかも考慮せず雑な計算をします)

解法1: 月と太陽の視直径と距離から解く

以下の情報を知っている場合に使えます。

  1. 光速が 30万km/s であり、光速は地球を1秒で7.5週すること
  2. 太陽の光は地球に8分20秒後に到達すること
  3. 月までの距離は40万kmであること
  4. 太陽の直径は地球の100倍ほどであること

まず、地球の円周は、1より 300000/7.5=40000km300000/7.5=40000 km であるため、地球の半径 rearthr_{earth}rearth=400000/2π=6366kmr_{earth} = 400000/2\pi = 6366 km とわかります。

4より、太陽の半径 rsunr_{sun}636600km636600km です。

1と2より、太陽と地球の距離 lsunl_{sun} は、 (860+20)300000=150000000km(8 * 60 + 20) * 300000 = 150000000 km です。

また、皆既日食で太陽と月が重なると、太陽がほぼ細い光の輪っかのように見えることを考えると、太陽と月の視直径はほぼ同じと考えることができます。

視直径が同じということは、地球から月または太陽に対して引かれた2つの接線から成る角度が同じということになりますので、太陽と月の半径は、太陽と月の地球からの距離と比例すると推測できます。

よって月の半径は、

lmoon:rmoon=lsun:rsunl_{moon} : r_{moon} = l_{sun} : r_{sun}
rmoon=(lmoonrsun)lsun=(400000636600)150000000⇒ r_{moon} = \frac{(l_{moon} * r_{sun})}{l_{sun}} = \frac{(400000 * 636600)}{150000000}
=1697.6km = 1697.6 km

とわかります。

また、球の体積は 43πr3\frac{4}{3}\pi r^3 なので、 r3r^3に比例することがわかります。(公式を知らなくても球の体積は円の面積の積分であることからわかる)

よって、月の半径は地球の半径の 0.267倍 と上記からわかっているので、これの3乗の1.9%が地球に対する月の体積であるとわかります。

ここから適当ですが、、、月の密度は地球の密度より小さい感じがしますよね。

地球にある天体が衝突して生じた破片が集まって月になったという説が有力であるため、地球よりも極端に高密度ということはないでしょう。

地球は鉄からなるコアが存在し、鉄は密度が高いことが知られていますが、月のマントルの話はあまり聞いたことがありません。(実際はコアが存在するという説が支配的らしいです)

なので、たぶん地球より密度は小さいだろうと考えて、雑談レベルでは 月の質量は地球の 1.9% 未満 と回答できると思います。

正解が 1.234 % なので、まあまあ近いと言えそうです。

ちなみにより正確には、太陽の直径は地球の109倍ほどであり、月と地球の距離は 384400km ほどです。

解法2: 月と地球の重力と密度比から解く

こちらのほうがより正確かつスマートだと思います。

以下の情報を知っているとします。

  1. 光速が 30万km/s であり、光速は地球を1秒で7.5週すること
  2. 月の重力は地球の6分の1であること
  3. 月の密度は地球の60%であること

2, 3より、重力加速度gと密度ρはそれぞれ以下のように表現できます。

gmoon=(1/6)gearthg_{moon} = (1/6)g_{earth}

ρmoon=(6/10)ρearth\rho_{moon} = (6/10)\rho_{earth}

万有引力の法則よると、

g=GMr2g = \frac{GM}{r^2} (Gは万有引力定数、Mは星の質量)であるため、重力加速度の比を用いて、

Mmoonrmoon2=Mearth6rearth2\frac{M_{moon}}{r_{moon}^2} = \frac{M_{earth}}{6r_{earth}^2}

となります。

質量は体積( (4/3)πr3(4/3)\pi r^3 )かける密度なので、

(4/3)πrmoon3ρmoonrmoon2=(4/3)πrearth3ρearth6rearth2\frac{(4/3)\pi r_{moon}^3 \rho_{moon}}{r_{moon}^2} = \frac{(4/3)\pi r_{earth}^3 \rho_{earth}}{6r_{earth}^2}

となり、これを解くと、

rmoon=rearthρearth6ρmoonr_{moon} = \frac{r_{earth}\rho_{earth}}{6\rho_{moon}}

よって密度の比から、

rmoon=(10/36)rearthr_{moon} = (10/36)r_{earth} となります。

1より、地球の半径は 6366km ほどなので、月の半径は 1768.3kmとわかります。

質量と半径の関係式から、

MmoonMearth=rmoon26rearth2=1.286%\frac{M_{moon}}{M_{earth}} = \frac{r_{moon}^2}{6r_{earth}^2} = 1.286 \%

以上より、月の質量は地球の1.286%ほど といえます。

これはだいぶ近いしスムーズではないかと思います。


以上、月の半径がわからないときの、地球に対する月の質量の推測の仕方でした。

他にも、月の視直径と月と地球の距離がわかっていれば、三角法から求める方法もあると思いますが、上記で挙げた知識以上に、月の視直径を知るわけないので省きました。

もっと公然の情報だけで推測できる方法がありそうですが、とりあえず思いついたのはこんなところです。

難しい質問でした。